黄​金​の​ま​ま​で​は​い​ら​れ​な​い

from 宝石 by amahisa

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lyrics

「君の中に宇宙が見える」
今まで見たことのない優しい顔をしながら
あなたの手のひらが私の両手を包む
傾いた太陽が二人の頬に紅を差す時
私は、私が宝石であると知った

私は、鏡の中の私を見つめる
覗き込んだ瞳は
真っ暗で、底の無い湖のように
何も映さない、何も聴こえない
どれだけ探しても
宝石なんて見つからない
石の一欠片すら持ち得ない
私が、私だけが
何も持っていなかった
それは仕方の無いことだから
贋物の指輪が必要だった
欲しい物は、とても怖いから
水底には、光は届かないから

それなのに
あなたが私を見つめた時から
あなたが私を見つけた時から
私の世界は光溢れてしまった
何色に輝いているのだろう
どのくらいの大きさなのだろう
形は?重さは?すべすべしているの?
熱いのかな、硬いのかな
輝くのかな、歪むのかな
ずっと見つけられなかったのに
あなたが見つけてくれたこの宝石が
愛おしくて、恐ろしくて、眩しくて
失うのが怖くなってしまった
私は宝石に魅入られてしまったのだ

あなたが隣にいる間
私の宝石は光り輝いた
淡く透明な光が二人の輪郭を曖昧にする
私の中から新しい宝石を見つけるたびに
それはまるで元から存在していたかのように
私の中に一つずつ飾られていく
どうしてそんなに見つけてくれるのだろう
あなたを見つめる事ができないのに
あなたを救う事ができないのに
いつも私を暗闇から掬ってくれる
どうして一緒に泣いてくれるのだろう



「そのままの君でいてほしい」とあなたは言った
それはまるでとても恐ろしい生き物のように
指先から身体へ這いずりまわり、私の熱を奪っていく
私であることが求められた
私でないとダメなんだ
苦しくて、息をたくさん吐いた
飾られた宝石が、私の言葉で傷付いていく
気が付いたら私は逃げ出していた
裸足のままで、宝石だけ抱えて
あなたがくれた大事なものだから
私には宝石しかないから

暗闇の中で、走り続けて
抱えていた宝石をたくさん落としてしまった
拾おうとしても、真っ暗だから何も見えない
あなたがいないと何も見えない
宝石は光を映す鏡だ
あなたがいたからこの宝石は輝いていたんだ
あなたがいたから私は

いつしか宝石は砕けて
当てもなく歩き続けて
いつの間にか水辺に立っていた
月の光が薄く宝石を照らし出す
欠片に残るあなたの面影に問い掛ける
私は、何色に光っていましたか?  

credits

from 宝石, released November 23, 2019

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